カデット ブルゴーニュ・レルミタージュ・ルージュ [2008]
ブルゴーニュ地方の北部、コート・ド・ニュイ地区とシャブリ地区の中間にある産地「ヴェズレイ」地区でワインを造りを行うオーナー、ジャン・モンタネ氏。
このヴェズレイ地区は、緑の山々が渓谷のように入り組んだ斜面にぶどう畑が広がり、美しいパノラマと自然が満喫できる場所。ワイン産地としてあまり聞きなれないこの場所ですが、畑に入ると貝殻がゴロゴロ出てきて、シャブリに負けないくらい石灰質が強いのが特徴です。
モンタネ氏は2001年まで「ビオロジック」の栽培者たちが集まる共同組合「アンリー・ド・ヴェズレイ」の組合長を長年続けてきた腕利きのヴィニュロン。協同組合の新しく充実した醸造設備を生かし、ピュアな果実味のワインを造ってきましたが、組合が大手ワイナリーに譲渡されることに決まり、「造るワインが違う」として組合から独立しました。
自社畑は1999年から有機農法を導入しており、認証機関『カリテ・フランス』に正式認定されたお墨付きのビオロジストです。
■リスクを負ってでもブドウの完熟を目指す■
「協同組合」という大所帯では、収穫日が前もって予定されると、ぶどうの成熟状態に応じた直前の変更などできませんでした。しかし、
「今は天気とぶどうの熟度を見ながら二日前に決めればいい。リスクを伴うが、自分の納得がいく仕事ができる。これが今までと違うところさ。」
とモンタネ氏は語ります。
シャルドネの栽培地としては相当北に位置するのこの地区で、収穫をぎりぎりまで遅らせて熟度を高め、旨みを出させるただ一人のチャレンジャーであるモンタネ氏。
南仏のような晴天続きとは違い、「冷涼な気候」と「テロワール」が生み出す、この土地でしかできない繊細で洗練されたピュアなワインを追求している。
■栽培品種■
栽培品種は主にシャルドネで、石灰質の強い土壌を生かしたキリリと締まりのあるすばらしいワインを造りだします。
【 栽培比率 】
・ シャルドネ : 77%
・ ムロン・ド・ブルゴーニュ : 3%
・ ピノ・ノワール : 20%
■栽培・醸造の特徴■
1. 「テロワール」を表現するぶどうを作るために、除草剤などの化学物質を使わない「ビオロジック」農業を
長年取り入れています。『カリテ・フランス』認定。
2. リスクを負って熟度の高い健全なぶどうを手摘み。
3. プラスティックケースで潰れないように運搬。
4. 手摘み収穫、天然酵母による醸造など、品種とその土地の風味を第一に重んじるワイン造り。
5. 発酵・熟成中はSO2を使わない。またビン詰め前もSO2を極力抑える。
6. 樽の影響が出過ぎないよう慎重にチェックしながら熟成。
7. 年間生産量:平均 85,000 本、輸出比率:65 % (アメリカ、ヨーロッパ、アジア)
8. 栽培面積:13.29 ha (全て自社所有畑)
( BGO blanc 0,34 ha / Bourgogne blanc 3,00 ha / Bourgogne rouge 3,29 ha /
Bourgogne Vezelay 6,66 ha )
9. 栽培は、ジャン・モンタネ氏本人が責任者。栽培コンサルタントなし。
10. 醸造も同様にジャン・モンタネ氏が行い、醸造コンサルタントはなし。
■「カデット」の由来■
モンタネ氏が所有する日照に優れた見事な区画は、ヴェズレイの入り組んだ山あいを大分奥に入らなければならず、行き来するのに不便な場所にあります。
そのため昔の人々はこの畑の面倒を見るのを嫌がり、親から子に引き継ぐ時は、たいてい末っ子に面倒を見させたといいます。
このことから、「カデット=末っ子」と名乗るようになりました。
■パリのビストロでも大人気!■
パリでダントツ人気のワイン・ビストロ「バラタン」の経営者フィリップ・ピノトー氏は、「『ソルニエ』は傑作!自身をもってお奨め」とドメーヌ・ド・ラ・カデットのワインをイチオシです。
珍しいセザールを使用しているブルゴーニュ・ルージュブルゴーニュの赤と言えばピノノワールがほとんどで、ボジョレー地区ですとガメイが使用されていますが、まだ使用されている品種があります。それがセザールです。
このブドウ品種はかつてブルゴーニュで広く使用されていたと言われていますが、結実不良が多く、現在栽培している生産者はほとんどいないブドウ品種です。
このカデット ブルゴーニュ・レルミタージュ・ルージュはピノノワール90%にセザール10%が使用されています。このセザールによってピノノワールを引き立たせ、全体的に複雑味をもたらしています。
以前はセザールの使用量は20%あったのですが減っています。収穫量自体がだいぶ減ってきているのかもしれません。今後も提供できるか分からないというワインであり、飲めるうちに楽しんでいただきたいブルゴーニュの貴重な遺産(レルミタージュ)です。